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無認識の「差別」とマーケティング

2018年8月17日

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東京医科大学の女性受験生に対する、
「差別」基準が明らかにされつつあります。

前提として、私立大学医科系の入試について、
説明しておきましょう。

私立医科系の入試は、一般的に、
一次、二次の構成になっており、
一次は「学力」中心で、数学、理科二科目(化学、物理、生物から選択)、英語、
二次は「人物」重視で、面接、論述・論文、
と言う構成で実施されています。

いま、人気急上昇の順天堂大学医学部などは、
小論文に力を入れていて、
手練れの大人でも手が止まる、
相当な「難問」を出題しています。
http://nx57.asp.cuenote.jp/c/bwbhaaaM37af2Hab

いま話題になっている東京医科の一般入試の場合、
全体の倍率は15~20倍程度ですが、内訳は、
一次合格が5~7倍で、二次合格が3倍ほどとなります。
(5倍×3倍=15倍といった感じです)

新卒採用のSPIや筆記試験で、
ビジネスパーソンにも「経験」があることと思われますが、
一般に「学力試験」では、
上位を女子が占めることが多く見られます。

ですので、東京医科大学の場合は、
どうも「人物を見る」段階の二次試験を活用して、
女性受験者を不利にする調整をした模様で、
一次試験の「点数」と合算が容易な、
「論述・小論文」の試験の点数を20%以上不利にすることで、
結果として男性受験者を水増ししていました。

ある意味で二次試験の倍率を「3倍」程度と、
二次で「落ちることもある!」と、
受験生が納得できる倍率にしているのは、
この「調整」を自然に見せるための、
狡猾な「方法」と考えることもできる状況でした。

最大の問題は、この「差別」行為に、
東京医科大学は「当然の合理性」を持っていたことで、
内部調査でも
「(年齢を重ねると)女性医師のアクティビティーが低下するため」
との学内の方針(?)を述べています。

これは、大学病院、系列病院への「医師の供給」が、
医局と言う「徒弟制度」と相まって、
私立医系大学の大きな「使命」となっているという現実があり、
「大学附属病院(研究と訓練)」から「病院付属大学(経営)」という、
「ビジネス発想」に、大学の理事会がなってしまっているからです。

そして、女性が働きにくい病院、医療界のシステムはそのままに、
http://nx57.asp.cuenote.jp/c/bwbhaaaM37af2Hac
「女性医師のアクティビティー」の低下を、
ある意味で問題となっている重要な「KPI」として、
経営に取り込んだ結果であると言えます。

心情的な「差別」をする気はないと言う点において、
東京医科大は重大な「憲法違反」を起こしたという認識はなく、
あくまでも、現実に即した「合理的な判断」をしている、
という気分であることが、
実は、この問題の非常に根深い点であると言えます。

【WORK DESIGN(ワークデザイン):行動経済学でジェンダー格差を克服する】
イリス・ボネット (著), 大竹 文雄(解説) (その他), 池村 千秋 (翻訳)
http://nx57.asp.cuenote.jp/c/bwbhaaaM37af2Had

無意識のバイアスはいたるところに潜んでいる。
男女格差を解消するための〈職場と学校のデザイン〉についての研究書。

女性の社会進出は進んだが、
男女の賃金格差などジェンダーによるギャップはまだまだ根強い。
その大きな要因となっているのは、私たちが無意識にいだく「バイアス」だ。

女性の社会進出は、少子高齢化の進む日本では、
安倍政権の大きな政策の柱ですが、
社会のシステム、組織のデザインをこれまでの「バイアス」をそのままに、
女性の「社会進出」「女性の活躍」を後押しすると、
そこには「生物学的に女性」ではあるが、
心理、精神構造は「男性」にならざるを得ないという、
経営者以外は、誰もうれしくない状況を招きます。

本書は、豊富な事例、実験結果をもとに、
行動経済学の視点から、会社や学校の組織が、
女性を女性として活躍できるように再デザインするための、
示唆に富んだ内容になっています。
(少々高いのが難点ですが・・・)
http://nx57.asp.cuenote.jp/c/bwbhaaaM37af2Had

◆今日の話題◆
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クレヨンや色鉛筆から「肌色」が消えた!
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中高年の方には「驚かれる話題」ですが、
2000年のころからクレヨンや色鉛筆の「肌色」というものが、
「うすだいだい」や「ペールオレンジ」と言うように、
「改名」されています。

これは悪い意味で「目からうろこ」なのですが、
グローバルの視点を持たない時代には、
日本人の肌の色=ほぼ「肌色」であり、
それが「普通なのだ」という「当たり前バイアス」が、
構成員に「認識」されることなく、
日本社会全体を覆っていたという背景があります。

この「雑」な言葉の使い方には、
社会の全体性に依存した「無認識」があり、
これは「女性は皮膚科か眼科ばかりで、体力勝負には向かない」という、
今回の東京医科入試の「女性」に対する「差別」と、
同じ「態度」がその背景にあります。

マーケティングにおいても、
「良かれ」と思って作り上げた「表現」に、
女性や母親といった言葉に対する、
「無認識」な差別性が含まれているかどうかを、
時代の要請として、早急にチェックする必要があります。

特に日本社会は、
急激に変わらざるを得ない状況に、追い込まれているのです。

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アカチャンホンポの「失敗」
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アカチャンホンポは今年の6月に、
自社企画製品の「水99%Superシリーズ おしりふき」のパッケージを、
急遽変更しました。

この製品は、ウエットタイプの「おしりふき」で、
名前の通りアルコールではなく、液体成分は水が大半というもの。

肌荒れなどアレルギーを起こしにくいと評判で、
ヒット商品となっているものです。

この製品のパッケージには、
「全国のお母さんを応援します」と表記されていました。

おしりふきは、赤ちゃんのいる家庭では、
毎日「おむつ代え」に何枚も使う必需品であり、
確かに「お母さん」が使用することが多い商品です。

アカチャンホンポとしては、
圧倒的に多い「ユーザー」への思いを込めたメッセージとして、
このコピーを作り、パッケージもデザインしていたハズなのです。

ところが、このコピーに対して、
「子育ては、父親も頑張っている」と言う声や、
「母親がおむつ代えの専任担当なのか?」という声が上がり、
SNSなどでの署名活動が盛り上がり、
この声を受けて、急遽パッケージの変更となったのです。

この騒動には、悪意のある関係者は存在しません。
(「顛末」をネット等で面白おかしく騒いだ、野次馬は除く)

ただ、マーケティングという観点からは、
アカチャンホンポに「抜かり」があったとは言えるでしょう。

これは社会の気分の変化を積極的に感じ取り、
「無認識」に使ってきた「性差」「性的役割」を示す、
「便利な言葉」の意味を、
もう一度「吟味」することを忘れた結果であろうと思われます。

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「ママの公式スポンサー」はP&Gの日本法人の勇み足?
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同じような事態は、
現在、P&Gでも起きています。

P&Gはオリンピックのグローバル公式スポンサーを継続していますが、
これに合わせて現在は、
世界統一のキャンペーンとして、
「Thank You,Mom」というキャンペーンを行っています。

アメリカなどでは、
オリンピアン、パラリンピアンと
そうした子供を応援する母親の絆を描いた動画で、
キャンペーンを行っており、
YouTubeでの再生回数も多く、
なかなか「泣かせる」と成功しているキャンペーンです。

ところが日本法人のキャンペーンの展開では、
「Thank You,Mom」を
「ママの公式スポンサー」というフレーズに置き換えたために、
P&Gがママを応援していることに文法的になってしまい、
ホームページの赤ちゃんとお母さんのツーショット写真とも相まって、
「赤ちゃんの世話をするお母さんを応援」する企業
というメッセージになってしまっています。

東京オリンピックの公式スポンサーという立場や
日本で販売しているP&Gグループの製品のポートフォリオを考慮して、
日本法人では、グローバルの地味な「お母さんありがとう」だけでなく、
「ママの公式スポンサー」というコピーを追加したものと思われますが、
日本社会の「無認識」で古い、
「性差における役割論」に流された、
残念な「勇み足」となってしまっています。

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新しい個人情報意識の時代に対応する「セキュアDM」
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